農山村地域経済研究所 新庄支所から

豊かな自然と宝物がいっぱいの農山漁村が、全国各地にあります。この村々を将来の世代に残そうと、一年の半分以上を農村行脚しながら、村づくりをサポートする楠本雅弘という先生がいます。これは先生の応援ブログです。

山は命のみなもと

 楠本雅弘先生が『集落営農』(2003年 農文協)の中でこんなことを紹介している。

 「戦前の農林省では、石黒が農政課長になって以来、将来の次官・局長となるべき幹部候補として採用した事務官を、入省後二,三年目の若いうちに地方営林局へ配属させるのを慣例とした」その理由を石黒は「日本の山村では、一番下に町があり、その上に村があり、部落があり、それから3軒家、一軒家と川上へつながっている。(中略)もし一番山奥の一軒が離村すると、次の三軒家も崩れ、みんな都会へ出て行ってしまう。(中略)諸君を営林局へ行かせるのは、植林の仕方を勉強させる為ではない。国有林を将来にわたって守り育てるために、一軒家の奥にもう一軒、どうやって人間を定住させられるかを現場で研究させるためだ」(「石黒忠篤が説く山奥の一軒家の意味」)

 身近なところでは、柴田栄(戦後、第三代の林野庁長官、参議院議員)は真室川営林署に勤務し、及位村の農村更生計画を推進し、成功に導いている。

 山を守っているから下流の田畑が守られ、最下流の市街地の人々の生活が守られているのである。これは最近の災害を見ても明らかであろう。小規模の過疎集落や小規模農地は生産効率が劣る。より下流の大規模集落へ統合させ、そこに予算を投入しようーこんな現在の農政とは、まさに正反対である。

 これと全く同じ話を牧衷さん(もと岩波映画プロデューサー、シナリオライター、哲学者)に聞きました。

 <杉の伐倒作業 見事な匠の技 感動ものです> 

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私は9月から、北桜林業というところで週3回ほど、お世話になりながら、山の勉強をさせてもらっています。これから少しずつ紹介していきますが、今実感していることは、「山の豊かさ」です。まだまだ慣れないの体力的にきついのですが、まず山の木々に圧倒されます。山の息吹に心が洗われます。山の恵みを実感します。

 ぜひぜひとも山に慣れ親しんでもらいたいです。「山は命のみなもと」を実感できると思います。

※ 石黒忠篤(1884~1960):「農政の神様」と呼ばれた戦前のカリスマ官僚、農本主義農政の推進者。農政課長、農務局長、次官、農林大臣を歴任。農山村経済更生計画(戦前の農村再生策)を推進した。