農山村地域経済研究所 新庄支所から

豊かな自然と宝物がいっぱいの農山漁村が、全国各地にあります。この村々を将来の世代に残そうと、一年の半分以上を農村行脚しながら、村づくりをサポートする楠本雅弘という先生がいます。これは先生の応援ブログです。

石巻 雄勝ローズファクトリーガーデン訪問報告

 5月3日、石巻市雄勝ローズファクトリーガーデンを主宰する徳水博志さんを訪ねていきました。

 途中、阿部勝子邸(ボアランティア・センター=VCの基地)に立ち寄ったら、偶然にも益田文和先生がおり、金華山の鹿の角を使っての「土産物つくり」をしておりました。

f:id:zenninnaomote:20180522173517j:plain

 この日は海が荒れて金華山行きのフェリーが欠航とのこと。後でいつもの山谷君、旅の旅行社の竹島さん、最後に押切さんが8名くらいのボランティアの人を連れてやってきました。私は、阿部勝子さんにきな粉餅をごちそうになり、娘さん・お孫さんと若干お話をして、女川に向かいました。女川はゴールデンウイークということもあり、駅前の復興商店街は賑わいを見せていました。

 

 昼食を済ませ、雄勝に向かいました。午後2時前に「ローズファクトリーガーデン」に到着。徳水さんはお話の準備をして待っていてくれました。

f:id:zenninnaomote:20180522173824p:plain


 私が徳水博志さんを訪ねたのは、2012年8月、宮城県気仙沼市での朝日カルチャーセンター主催の集会に参加しました。その時の講演者の中のお一人で、ご自身も被災しながら雄勝小学校での「復興教育」で優れた教育実践をされた報告をしてくださいました。(⑴)それに感動し、なんとかお会いしたいと出向くなどしたのですが、ご病気や会社設立のため、多忙を極めており、機会を得ることができず、この日となりました。
 

f:id:zenninnaomote:20180522174101j:plain

最初に挨拶代わりに、「震災から7年が過ぎて、ボランティア活動の在り方にも大きな変容がある。今、被災地に必要なボランティアはなんなのか。」とお尋ねしました。
それに対して、徳水さんは、自分の実践を示しながら教えてくださいました。
<自らも被災し、義母をなくしながら、教員として「復興教育」を提唱して、実践したこと。一方、奥さんが実家のあった場所に母の供養のため花を植えたこと。そして児童の教育活動=雄勝復興のプランの中に花壇整備が計画され、これがローズファクトリーガーデンを作るきっかけになったこと。関係性を喪失した被災地で、復興に関わることで関係性の再構築しつつ、真の被災地の復興(真の復興とは、人間性の復興である>に取り組んでいること。そして地域を愛する人々が地域の変革の主体者となること。また現在は、ローズファクトリーガーデンを活動拠点として、一般社団法人(非営利)「雄勝花物語」を設立し、イデオロギーよりも雄勝を愛するものを大事にして、彼らをすべて巻き込みながら復興事業を展開していました。(⑵)>

f:id:zenninnaomote:20180522174432j:plain

 お話を伺って、震災からの復興と農山村地域の再生は、基本的の同じであることを確認できました。そして楠本雅弘先生の訴え続けてきた<持続的地域社会を作っていく「地域営農システム」論>と通底していることを確認できたことは、大きな収穫でした。

f:id:zenninnaomote:20180522174544j:plain



⑴ 徳水さんの講演の内容は、大門正克・岡田知弘他編著『生存の東北史』(大月書店 2013年)
⑵ 前掲書。岡田知弘『震災からの地域再生』(新日本出版社 2012年)。福田徳三『復興経済の原理及若干問題』(1924年)。そして、今回のお話のもとになるのが、徳水さんの『震災と向き合う子どもたち』(新日本出版社 2018年)です。