農山村地域経済研究所 新庄支所から

豊かな自然と宝物がいっぱいの農山漁村が、全国各地にあります。この村々を将来の世代に残そうと、一年の半分以上を農村行脚しながら、村づくりをサポートする楠本雅弘という先生がいます。これは先生の応援ブログです。

人の心に寄り添うセイジ?

 私は、ノンポリ(古い表現ですかね?)で、どの政党とも距離をおいています。また政治的な活動に対しても同じです。「じゃぁ、選挙の時にはどのような判断をするのだ?」と言われそうです。その人間が信じられるか?  信じられない人が当選しそうなときには、反対票=対立候補を投じてきました。

 信じられる人の基準。どのように言ったらよいのか、難しいですね。

 1,2週間ほど前の朝日新聞の書評の中の文章。現在でも死者を埋葬する時、100%火葬かと思いきや、99.7%くらいだそうです。つまり日本にはまだ土葬の風習が残っているのだそうです。著者が地元の人に「何故、土葬にするのか?」と聞いたら、地元の人が「だって、火葬にしたら、埋葬される人が熱いじゃないか」と言ったそうです。とってもいい言葉です!それを聞いて(?)、私はなるほど!と膝を打ちました。自分が死んだら、火葬は嫌だな!許してくれないかもしれなけど、遺言には「土葬希望!」と書いておこうと思いました。

 これを読んだとき、沖縄の辺野古に米軍の新基地建設を進めている政府が、本島南部の糸満市の土砂を埋め立て工事に使おうとしている、というのを思い出しました。糸満市沖縄戦(1945年6月)終焉の地で、今でも見つからない遺骨を探しているとのこと。見つからず、そこの石を3つ持ち帰り、遺骨の代わりにしたという人も。遺骨が見つかり、持ち帰った人でも、持ち帰ったのは人骨の一部。まだまだ沖縄戦で亡くなった人の人骨の多くが残っているのです。政府にはまず、沖縄戦で亡くなった全ての人の人骨を家族のもとに返してもらいたいです。また、戦争で亡くなった人の遺骨の混じった土砂を米軍基地の土台として使い、その基地から戦闘機や空母が”戦争”のために出撃していくのです。このことを決める政府の人たちは、もし自分の身内の人の遺骨が混じった土砂が米軍基地の土台に使われることを知ったら、どう感じるのでしょう……。

 安部前首相も菅首相も「沖縄の人の気持ちに寄り添って、米軍基地問題を解決していく」と何度も何度も繰り返し、述べていますので、このようなことが現実になるとは思いませんが……。

 人間を言います。人間は、自然に対すると同様に、死者の霊に対しても畏敬の念をもって生きていきます。

 

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 だいぶ昔の話ですが、自分の大学の博士課程に途中から入学してきた川平成雄さん(のちに沖縄大学)という沖縄出身の先輩がいました。彼から「ソテツ地獄」に関する論文の抜き刷りを2冊いただき、沖縄のことを若干教えていただいたことがあります。彼の鬼気迫るような研究に圧倒されるとともに、私たちが沖縄のことについていかに無知かということを思い知らされました。そこでみなさんに現代の沖縄を知る最適な本を紹介します。矢部宏治・須田慎太郎『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』(書籍情報社、2011/6/15)