農山村地域経済研究所 新庄支所から

豊かな自然と宝物がいっぱいの農山漁村が、全国各地にあります。この村々を将来の世代に残そうと、一年の半分以上を農村行脚しながら、村づくりをサポートする楠本雅弘という先生がいます。これは先生の応援ブログです。

<中小企業振興条例を活かして地域をつくる>岡田知弘先生の講演会

 10月26日(金)に、山形県産業創造支援センターにおいて、山形県中小企業家同友会主催で上記の講演会と学習会が開かれました。
 今でもそれほど認知度が高いとは言えない「中小企業憲章」・「中小企業振興条例」について、日本と世界の政治・経済情勢から解き明かし、この条例の制定と活用により地域づくりの核にしていこうと提案するものでした。つまり
 ① 災害が多発し、さらに経済のグローバリズム化が進む一方、地方は疲弊し続けている。そうした中でも地域経済を支え続けているのは地域の中小企業(=地域社会を作り、維持する最大の経済主体)。
 ② 経済のグローバリズム化により、大企業の海外進出と輸入促進政策による地場産業農林水産業の衰退。構造改革政策による東京への富の集中と地方の衰退。さらに追い打ちをかけるような災害の連続。これまでの生活を維持できない地域の拡大⇒限界集落
  *例えば、2001年の経産省『H12年度企業活動基本調査報告書』で海外売上高を見 ると70%が東京に集中大阪府が10%程度。愛知が7%)。国税庁法人税統計」2012年版では、法事所得額が東京に49%(大阪11%、愛知8%程度)。これだけでも「東京一極集中」の意味が分かろうというものです。
  *東日本大震災にしても「惨事便乗型復興」といわれるように、国の復興資金(予算)を大手ゼネコンが半分以上吸い上げる構造です。これは何も東日本大震災に始まったものではない。阪神・淡路大震災でも、兵庫県が推計したところ、震災後二年間に集中した復興需要14・4兆円(うち公共投資三割)の90%が被災地外に流出してしまった」(岡田知弘『震災からの地域再生』2012/5新日本出版社)というように、東京の大企業が利益を吸い上げる構造なのである。

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 ③ 中小企業を主役に地域の実情に合った独自の産業政策を地方自治体が持つ時代になってきている。こうした中、「中小企業憲章」(2010/6)・「中小企業振興基本法」(2014/6)が決定・制定された。

 地域経済の主役は中小企業と農家であり、地域産業の維持、拡大が住民の生活を支える自治体の税源の保障になると指摘し、地域内経済循環の視点で、地域の宝に光を当てて地域づくりに取り組む自治体の具体例を紹介。循環経済の仕組み作りの重要性を指摘して、その際に中小企業振興条例が非常に有効であることを指摘します。

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