農山村地域経済研究所 新庄支所から

豊かな自然と宝物がいっぱいの農山漁村が、全国各地にあります。この村々を将来の世代に残そうと、一年の半分以上を農村行脚しながら、村づくりをサポートする楠本雅弘という先生がいます。これは先生の応援ブログです。

地元の宝物 測量遺産 塩野原基線

 昨年末、2冊の著作と2本の論文(冊子)をいただいた。さらに3冊の本を貸していただきました。どれも興味あるものばかりで、今、じっくりと読んでいます。
 その中の1冊を紹介します。
 ※大和工営一等三角点の会『測量会社の登山体験記 山形県一等三角点紀行』2017/5/30 著者発行人 大和工営一等三角点の会 齋藤利夫 非売品)
 皆さんは、<一等三角点>とは何か、知っていますか?
 地図(正確な広大地域を覆うもの)を作成するに際し、現代の航空測量が一般的に行われる以前から使用され,現在も引き続いて利用されている測量方法の一種である三角測量(三角形の一辺の距離と二角の角度を知ることにより、他の二辺の距離を計算で求める方法)を実施したとき、地表に埋定された基準点である。一等三角測量は、まず正確な長さが測定された基線を設けることから始まります。基線は3kmから10kmという直線と平坦な地域が確保できるところを選び、4mから25mの伸縮の少ない正確な物差し(基線尺)を使用して、その長さを慎重に測りました(国土地理院HPより)

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  だそうです。日本の近代化政策の中の一つで、明治政府が正確な地図作成を急ぎ、全国で15の基線が設けられました。その中の一つに山形県新庄市北部に、1894(明治27)年に設置された「塩野原基線」があります。全国に15の基線が設定され、日本の正確な地図つくりに非常に重要な役割を果たしました。これに基づく日本地図は1913(大正2)年に完成しました。ところが、時代はかわり、今ではGPSなどで測量するようになり、ほとんど使われなくなりました。(最新技術での測量の基本になるのが「電子基準点」、実はこれ、新庄の東山の体育館わきの駐車場の端にあります。これも驚き!)

 

  そして現在でも当時と同じように基線の両端が見え、当時と同じように測量できるのは「塩野原基線」唯一だそうです。そんなわけで、2011年に、「測量遺産」に指定され、12月15日に現地で「測量遺産塩野原基線」の標示板の除幕式があったそうです。f:id:zenninnaomote:20180123222438p:plain

  精確な日本地図の作成の基準になった「基線」が日本に唯一、新庄に残っているなんて素敵なことだと思いませんか。そして今は、新庄の東山に「電子基準点」があって伝統が引き継がれている!

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  齋藤さんにいただいたこの本、塩野原基線から始まり、山形県にある21の三角点の登山体験記です。魅力ある文章で、それぞれの三角点の魅力を存分に伝えてくれます。おすすめ本です。但し非売品です。「大和工営」のHPに掲載されています。是非、のぞいてみてください。

 *掲載の写真は、新庄氏のHPより転載。