農山村地域経済研究所 新庄支所から

豊かな自然と宝物がいっぱいの農山漁村が、全国各地にあります。この村々を将来の世代に残そうと、一年の半分以上を農村行脚しながら、村づくりをサポートする楠本雅弘という先生がいます。これは先生の応援ブログです。

東日本大震災の振り返り    学びの確認と過ちを繰り返さないために Ⅱ

 【人間の復興(福田徳三)のために】

 昨日の続き。いくら法人に怒りをぶつけてみても思いは通じないのですね。やっぱり人に訴えたいです。古典派経済学の祖と言われるアダム・スミスは、『国富論』で有名です。「神の見えざる手」に基づく市場メカニズムにゆだねる自由放任主義を主張していますが、その前に大学の倫理学教授で『道徳情報論』という本を書いているそうです。その中で「経済活動には利己主義ではなく、他人のことを慮る利他主義が必要」だと、言っているそうです。また組織のリーダーやマネジメントに求められる最も重要な資質、価値観を「integrity:誠実・真摯・高潔」と言うそうです。なんかどこぞの国の一番偉い人が国会答弁で「○○を真摯に受け止め、誠実に対処してまいります」とよく聞く言葉ですね。

 これらの言葉より、子どもを産んだお母さんが涙目で「人の痛みのわかる人間になってほしい」と言っている言葉を大企業の経営者や為政者のみなさんに差し上げたい。

 

 私は震災後5年の2016年のブログに「東日本大震災と歴史からの学びを考える」と題して、「繰り返しの学びと語り継ぎ」の重要性を指摘した。しかし人の痛みなんて、同じ経験をしないとやっぱり「身につかない。自分モノにならない」のだと思う。件(くだん)のお偉いさんたちは頭がいいので、ニュースなどで情報を得ると直ぐに理解してしまう。だから彼らが「歴史的な大災害だ!」「みんなのきずなを強くして助けよう」などと下々の俺らに旗を振る。俺らは「その通りだ!」と現地にボランティアに行って被災した人の痛みをほんの少しだけ分けてもらっている

 ところで衆参合わせて710人の議員先生たち、被災地に足を運んだのは何人なのか?知りたいものです。仕事ではなく、個人的に何人の先生が足を運んだか?復興大臣になった先生は「被災者に寄り添い、全力を挙げて復興に取り組みます!」と誰もが被災者に心優しい言葉で誓います。大臣辞めた後も変わらず、被災地に足を運んでいるのでしょうか?東電の一番偉い人もどうなのでしょうか?マスコミの方教えてください。

 意地悪ですかね。ただ「心(気持ち)をモノ(行動)で表す」が不可欠では?

 自分が行ったボランティア先で出会った三上さん。自らも石巻で被災。家も流された。だのに金華山神社に住み込んで7年以上、決して不満を口に出さず、常に笑顔で無償のボランティアを続けていました。もうとうに80歳を超えております。彼の姿勢を見て、「誠実・真摯・高潔」という価値観を実感しました。

 いやいや、己はもっとひどいものです。ボランティアに行って汚れ切った己の心の汚れを少しだけ落としてもらっているのが実情です。                         あぁ、無情(情けない)!